2024/01/15 17:52
及富オンラインショップ 店長の菊地です。2024年もよろしくお願いいたします。
昨年から本格的に近隣の工房の有志に協力いただいて、弊工房以外の鉄瓶のご紹介ができています。
かつて、南部鉄器の産地は地域連携や、工房をまたいだ生産協力、技術共有、指導が広く行われてきたと聞いています。
近年では、すっかりそれぞれの工房が独立し、横のつながりが希薄になりつつありました。
今一度産地を元気に出来る取り組みはないものか?と考え、現在の活動に至っております。
日本だけに限らず、現在はアメリカをはじめ海外の鉄瓶ファンのお客様も増えています。
海外のお客様からは、個人工房の作品を欲しいという熱いリクエストをたくさんいただいております。
特に、松鹿堂さんの焼型の鉄瓶がとても人気です。
新年を迎え、新たに4種類の鉄瓶を仕入れすることが出来ましたのでご紹介いたします。
すでに売り切れになっておりましたらごめんなさい。
人気のあられ 松鹿堂の鉄瓶の一番の特徴は温かみです。鉄瓶は全般的に、硬質感があり、クールな印象をいだかせるものが多いですが、真吾さんの鉄瓶は柔和な印象をうけます。
模様を深く押すのは好きではないんだよね。と真吾さんは語ります。
主張をし過ぎない、品の良さを重視しているとのこと。
竹の模様一つみても、なるほどなと感じるポイント。
これは珍しいですね!と思わず、口に出してしまった鉄瓶がこちら。
表と裏に龍の模様があります。龍自体は昔から鉄瓶のモチーフとして採用されていたものの、こちらのいわゆる寸胴型のものに施されたのはあまり見ない表現です。しかも持ち手が倒れるのも珍しい。蓋が広く大きいので、蓋の開け閉めをする時に持ち手が邪魔にならないようにとの配慮。
こちらは定番のあられ模様です。つぶつぶ、ぶつぶつなど、いろんな呼ばれかたをしますが、正式名称は「あられ」「霰」です。
焼型製法の場合は雌型となる部分に、この一粒一粒を型に毎度押していき製作していきます。なかなか神経を使う仕事、職人によっても好き嫌いが分かれます。好き嫌いというのは、自分の性格には合わないといったとても人間らしい部分もありますが、型から鉄瓶を取り出す時に、型が破損するリスクが高いことがあります。
我々が鉄瓶を製作するまでに多くの工程がありますが、成功率(いわゆる歩留まり)は100%ではありません。
デザインによっては半分も残れば御の字ということも多々あります。
失敗した場合は再度型から作りなおす必要があります。
鉄瓶の価格を左右するポイントの一つに、製造難易度があるわけです。
ライター:菊地海人
▼プロフィール
及富の8代目の長男としてうまれ、2016年より家業を継ぐために修行開始
商品企画、デザイン、製造に関わりながら、技術を伝えるだけではなくお客さんにとってよりよい伝え方があるのではないかな?とSNSやオンラインショップの取り組みを2019年から本格始動
国内外で南部鉄器の悪質な海外製の模倣品や、詐欺が大量に出回っていることをうけ、2021年より海外向けのオンラインショップを開始
鉄瓶を通して、世界を沸かすをモットーに日夜試行錯誤しております。