2024/02/16 19:15

こんにちは、南部鉄器工房 及富の菊地です。

私たちの工房がある、ここ岩手県奥州市は、南部鉄器の産地として認知されてきましたが、わが町出身の大スターが世界を圧倒し続けています。その人とは、大谷翔平選手です。

改めて説明するまでもなく、これまでの野球界の常識を覆す記録を更新しています。
地元奥州市、岩手県民に限らず、日本、そして世界中のファンに勇気と夢を与えてくれる存在です。

いまだに記憶に新しいWBCの試合後のインタビューの中で「どこの惑星出身なんだい?」と質問された際の答えに大谷選手が「日本の田舎です」と答えたニュースにハッとしたことを今でも覚えています。岩手県の奥州市ってところです!と答えて欲しい。そんな期待もありながらでしたが、
彼は続けてこう話ました。「野球チームも少ないようなところでやってきた。だから日本の人たちにとっても頑張れば、こういうところでできるんだって示せたのは本当に良かったと思う」 

本当に私たち及富の職人一同も励まされ続けています。

最近では、大谷選手ゆかりの地として、観光に来ていただく方も増えており賑やかになってきました。
奥州市内の東北新幹線の駅近く「伝統産業会館」では南部鉄器の組合が企画し製造した大谷選手の握手象が展示されています。


続いて南部鉄器界における二刀流というテーマで考えてみましたところ、私たちの工房で製作している急須兼用鉄瓶のシリーズが「二刀流」と呼ぶのにふさわしいのではないかな?ということで、紹介します。

急須の機能、湯沸かしの鉄瓶の機能の両方を兼ね備えたシリーズを製作しています。

下のリンク先のカテゴリーでまとめています。


ご覧の通り、内部にホーロー加工をしていません。
釜焼きという伝統的な技法を使っていることで、内部の色が灰色になっているのがその証です。

小さめのサイズで展開しているため、ホーローなしで小さめの鉄瓶を必要とされている方には喜ばれるシリーズです。
2023年の12月の放映されましたラヴィットのゲストで出演された菜々緒さんが弊社の急須兼用の鉄瓶をお使いいただいていると紹介いただきまして、職人一同驚いたのもいまだに記憶に新しいです。

菜々緒さんがご使用している鉄瓶はこちら

お茶の味が変わって美味しくなった、明らかに違う、美味しいと反応をいただきました。




・釜焼きについて
釜焼きは、鉄瓶を高温で焼くことにより、鉄瓶表面に膜をつける技法です。その膜は化学的には酸化被膜と呼ばれます。

一部の方は素焼きの鉄瓶と呼ばれることもありますが、我々職人は使わない言葉なので素焼きで検索されてもたどりつけないお客様が多いようです。
歴史的に、ホーロー釉薬で加工し始めたのは釜焼きが始まった後の時代になってからです。陶芸でも使われる素焼きという呼称、ホーローの釉薬と対になるという意味で使われる方がいらっしゃるのかな?と。
素焼きという言葉が使われはじめたのはここ2010年代ころからと記憶しています。
そのため、素焼きの鉄瓶ありますか?とご質問をうけた時に何のことを言っているのかわからない職人は多いでしょうから、鉄瓶をお探しの時には、「ホーロー加工あり、ホーロー加工なし」ここを押さえておかれると良いかと思います。

ライター:菊地海人 
▼プロフィール
及富の8代目の長男としてうまれ、2016年より家業を継ぐために修行開始
商品企画、デザイン、製造に関わりながら、技術を伝えるだけではなくお客さんにとってよりよい伝え方があるのではないかな?とSNSやオンラインショップの取り組みを2019年から本格始動
国内外で南部鉄器の悪質な海外製の模倣品や、詐欺が大量に出回っていることをうけ、2021年より海外向けのオンラインショップを開始
南部鉄器で世界を沸かすがモットーです。