2020/09/02 11:43

ホーローじゃない急須ありますか?
とお客様からお話をいただくほど、ホーローでは鉄分がとれないという認識が
一般的になってきました。

ホーローとは琺瑯と書きまして、釉薬を中に塗って焼くことでコーティングを
施しております。
ヨーロッパを中心に、南部鉄器と言えば琺瑯が常識です。
琺瑯は本来の南部鉄器とは違うという見方もありますが、果たして本当に
そうなのか?
今日はそんなお話をします。

フランスが一番の輸出先でありますが、紅茶の国です。
日常的に紅茶を飲む文化圏で、町を歩きますと紅茶専門店がたちならび、数百種類の
紅茶の缶が常備されています。
その中から、お気に入りのお茶を買うマダム、試飲を楽しむ若いカップル、ブレンドを
提案してくれる店員さんなどがとても新鮮にうつります。
そんなお店の陳列棚にごくごくあたりまえに並んでいるは南部鉄器です。

紅茶へのこだわりがある人々に南部鉄器のホーロー急須が受け入れられたのは、
日本文化への愛着ももちろんありますが、日本らしさという段階はすでにこえています。
イタリア料理店でサーブされる、レストランでサーブされるポットに南部鉄器が
採用されていることは珍しくありません。

どうして、ここまで評価されたのか?
それは機能性にあります。

まず、鉄器であるメリット
・温度をキープできる
・茶葉が良く開く

そして琺瑯のメリットは
・お茶の味を変えない

鉄分補給が近年の南部鉄器の評価ポイントになりますが
鉄分と紅茶に含まれるタンニンが反応するため、味を大きく変えます。
また、紅茶の色もより濃い色になります。

お茶の種類や好みももちろんありますが、味だけでなく香りをより引き出してくれるのは
鉄の急須と琺瑯と比較したときに琺瑯の方が優れているというのを日々の試用で
再評価しているところです。

お茶の味というポイントに焦点をおきますと、琺瑯の南部鉄器は決して偽物ということは
なく、むしろ日本文化とヨーロッパの文化が結びついたことで生まれた、新しい文化で
あり、本物です。